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『斬る者に切れないモノ』part2

「…ス…お……ノス」


誰かが呼んでいる、だが誰だか分からない


いや分かってるがあり得ない、この声は…


「起きろクロノス!!このバカめ!!」


「Σんぉ!?」

怒声にも聞こえるその声に反応するかの様に体が跳び跳ねて辺りを見渡す


一面が白く何も見えない、ただ白い空間だった

「お前、負けたな?」


「っ…!!おっちゃん…!!」


だが確かに俺は自分の視界の中にあの人を捉えていた


何故此処に居るかは何となく察したがそれより会えた事が嬉しかった


「師匠と呼べ!!馬鹿者が!!」


「Σへぶぅあ!?」


だがあの人は呼び方が気に入らないのか容赦なく俺を固く握った拳で殴り飛ばした


「馬鹿者が…【敗者】に負けてどうする」



「ルー、サー?」


一度だけ聞いた事があった名前、確かマザーシップを乗っ取ったダークファルスの名前だ


今はそのマザーシップを捨て、新たなマザーシップに切り替えたのも一年ほど前の話だ


「ま、待ってくれよおっちゃ…師匠!!ルーサーって確かあのレギアスに殺られたんだろ!?何で!?」


そう、あの事件の黒幕であるダークファルス【敗者】は六芒均衡と呼ばれる凄腕アークスであるレギアスに殺られ、その後に【双子】と言われるダークファルスが【敗者】の模倣体を作った事は知っていた

「それは後に分かる、だがお前はここで燻ってていいのか?」


師匠は俺の言葉を遮る様に俺を見据える


「俺は…負けたんだ」


「負けたならリベンジしろ!!やられたまま終わるな!!クロノス、武器には自らの意思を乗せて何を斬るのか見定めろ!!その心は常に熱した鉄を叩き、整え、研磨しろ!!心は刀、刀とは心を乗せる物だ!!」


「…師匠の口癖だな」


師匠が化けて出てるのか俺が死んだのかは定かではないが師匠の激励はしっかりと心に届いていた


「師匠、俺とアルルを育ててくれてありがとよ…」


「行ってこい馬鹿者、お前まで連れてったらお前の両親に儂が殺されるわ」


「死んでも化けて出る人がよく言うぜ…」



師匠の冗談を背中越しに聞きながら親指を突き立てる


「クロノス、最後にこれだけは覚えておけ。『力なき正義に意味はなく、正義のない力は軽い』だ」


「…それってどういう…?」


師匠の言った言葉が気になってゆっくりと振り返る、すると辺りが眩い閃光に包まれて目が眩み、目を開けると天井が見えた



視界の左側は黒く覆われて、顔と胸の痛みが現実へと引き戻す


「っ…」


「…あ!!先輩!!」


起きてすぐに目に入ったのは眼鏡を掛けた男性、見覚えのあるその顔を見ながら口を開く


「カシェスさん…ここは…?」


「先輩のお部屋ですよ。今皆起こしてきますね」

「あ、いや、良いですって…こんなボロカスにやられた姿見せるだけで恥だし」


部屋の外は既に暗く、夜であるのが分かる

こんな時間に起こすのは酷だろうとカシェスさんを制した


「分かりました、でもどうしたんです?先輩が大怪我したってローザさん泣いてましたよ?」


「…ダークファルスにやられたんだよ…そんで…Σアルル!!アルルは何処だ!?…っ!!」



混濁した記憶を辿ると奴に連れ去られたアルルの事を思い出すが、傷の痛みでベッドから転げ落ちる


傷口こそ癒えてはいるものの、力は上手く入らなかった


「ちょ!!先輩起きたらダメですって!!3日も寝込んでたんですよ!?」


カシェスさんが肩を貸してくれて何とかベッドに腰掛ける


「情けねぇ…アルルを連れ去られた…くそ…」


「先輩、取り敢えず先に先輩の回復が先です。アルルちゃんはこっちで探しますから」


あまりの無力感で苛立ち隠せない俺をカシェスさんはやんわりと宥めて部屋から出ていく


恐らく誰かに伝えに行ったのだろう、一人部屋に取り残されてしまう


ベッドの近くの棚に置かれた写真立てを眺める


俺とアルル、師匠が写った写真を眺めながら体と左目に巻かれた包帯を捨てる


「視界がぼやけるな…」


左目の傷からか視界が曇る様にぼやけてしまい、仕方なく眼帯を巻き付ける


そして元師匠の部屋に入り、奥の部屋に飾られていた刀を手に取って鞘から抜いて刀身を眺める


俺が偶然手に入れた『オロチアギト』と呼ばれる刀、これを扱うには未熟だと取り上げられ飾られていた刀


「正義なき力に意味はなく、正義なき力は軽い…師匠、使わせて頂きます」


あらゆる武器は使い手次第、『守る為に使う』のか『戦う為に使う』のかでは意味が違う


師匠は己の正義を通すため、己の正義を力にしろ…とでも言いたかったのだろうか…


分からないが迷う事はない、自分で必要だと思ったからこの刀を手にして遺影に頭を下げていた


『未熟ながらも己の正義の為に振るう事を許してくれ』と念じ、頭を出ると部屋を後にした


目指す先は旧マザーシップ


奴はあそこにいるはずだと直感的に分かっていた


暫くして旧マザーシップ内へとキャンプシップを着けるとその先へと足を踏み入れる



もう機能していないマザーシップからこそ薄暗いのも当たり前ではあった


だがそれと同時にダーカーの蔓延る場所にもなっていた


「鳥型…はっ、わざわざ出迎えに来たのか…」


少しも進まない間に鳥型のダーカーが現れて取り囲む様に散開する


侵入を歓迎している訳でもなく、統率された兵士の様な雰囲気すら感じる


次の瞬間に一斉に襲い掛かってきた


「ちっ!!」


常に俺の左側へと回り込むダーカー達、一体一体確実に斬ろうとすると視覚の外から攻め立ててくる


視覚の外である左側は音と昔から培ってきた勘を頼りに避けているが、徐々に徐々にと掠り傷が増えていく


思いの外、隻眼というハンデが重く重圧感を与えて思うように動けなくしてきた


「やべぇな…」


壁を背にして死角を無くそうと試みるがダーカーも深く攻め込んでこない為に、ただ消耗させられているという実感が焦りを生んで太刀筋すら鈍らせる悪循環


このままではマズイと攻め込もうとした途端に幾つもの影が躍り出てきた


「はぁ!!」


「ふっ!!」


道を切り開いていの一番に突っ込んでダーカーに正確な射撃をしていくローザ


それに続く様に突撃してダーカーを倒していく長身の女性の椛


「ロザっちにもふたん!?」


「俺も居ますよ~!!」


「私もねー!!」


少し後ろの方では我等が殿(しんがり)だと言わんばかりに大暴れするカシェスと黒の片翼のルミエール


次から次へとダーカーを薙ぎ倒す二人を見て呆然としてしまう


「……え、ちょ、何で?」


暫しの思考停止からようやく出た言葉は実に間抜けだと自分でも思ってしまう



「もぉ…クロさんも誰か一人が突っ込んでいったら絶対助けるでしょ?」


いつの間にか傍に来ていたロザっちが呆れた様にため息を吐きながら軽く小突いてくる


「…怒らないんだな」


「怒ってるよ?頼ってくれなかったし」



真顔で俺を見ながらため息を吐くロザっちを見てるとすみませんと謝るしか出来なかった


「尻に敷かれてるねー」


「うっせ!!怪我人労れこんちくしょう!!」


からかいの言葉を投げ掛けてくるルミエール姐さんはかなり余裕気である


「先輩!!取り敢えず蹴散らしましょー!!」



「いや蹴散らすも何も…カシェスさんとルミエール姐さんが無双し過ぎて殆んど居ないって…」

元気、というより常にイキイキとしてるカシェスさんも余裕そうに笑みを浮かべていた


「まぁまぁ、クロさん、怪我人だし」


「素直に労るなぁああ!!惨めになるわ!!」


ポン、と肩に手を置いて笑いを堪えるもふたんを見てると何故かむしゃくしゃしてきた


「ふふっ、クロさん調子出てきたね」


「あんまり嬉しくはない調子の出され方だったけどね…」


笑みを浮かべて俺を見るロザっちに苦笑いしてみせながら刀を強く握り締めてた手を眺める


焦りと緊張から余計な力が入ってたんだと思うと微笑みながら力をゆっくりと抜いて迫ってきたダーカーを真っ二つに両断する


「悪いが礼は出せねぇぞ」


『絶対貰う』


どうやら俺は散財しそうな予感しかしなかった


苦笑いしながら仲間達と共に援軍に現れたダーカーの群れに突っ込んでいった
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コメント

No title

誰が姐さんだ?誰がぁ~w
続編待ってましたw
クロさん仕事速い!!
さー次は?次は?w

No title

そんなことが……
チクショウ!知っていれば、助けに行ったのに(お礼目当て感

続きはよ!(バンバンバン

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